ストリートではなにが起きてもおかしくはない。良いことも、またその逆も。1980年代から現在にいたるまで世界中のスケートキッズを虜にしてきたマーク・ゴンザレス、通称ゴンズ。そして隆盛著しいストリートボールをルーツにするストリート・ライフスタイル・ブランドのArch (アーチ)。スケートでいうならバックテールからのトランスファー、バスケットでいうならばビハインドザバック、そんなコラボレーションが2017年秋冬、登場。
撮影協力:B7 SKATE PARK Kaito Nakata and Toru Yoshida

人を惹きつけるもの。

吉田徹。こんなことを書くと、本人は嫌がるかもしれないけれど、彼はアーバンシティ・トーキョーのストリートスケートシーンを代表するひとりだ。キッズ時代からその名を轟かせてきた逸材は、新世代へと血の入れ替えが進むストリートシーンにおいてなお、羨望の眼差しを集める。もちろん、今のトーキョーで彼よりも上手くて万能なスケーターはいるだろう。しかし、彼ほど、見ている者をカッコイイと唸らせるスケーターはどれほどいるというのだろうか。タイトなストリートスポットで、メイクから遠そうでいていきなりメイクして仕上げてしまう。そして、そのスタイルが美しい。そんなフォトグラファー泣かせのフォトジェニックなのが吉田徹なのである。その稀な存在感はマーク・ゴンザレスとだぶる。そんなことを書くとまた本人は嫌がるに違いないが。もちろんスタイルは違うのだけれど、ゴンズよりもうまいニュースクーラーはたくさんいるだろうが、やはり彼の存在とスタイルは唯一のもの。バスケでいうシグネーチャームーブのシグネーチャートリックやシルエット。それは真似できるものではなく、永遠のニュースクーラーなのだ。ないものを欲しがり憧れる。ないものねだりがこの世の常。それはストリートでも同じ。吉田徹しかり、マーク・ゴンザレスしかり。そのスタイルは眩しいままだ。ゴンズのアイコン“Angel”とArchの“A”を、吉田徹がまとう。このオリジナルの3乗は、今秋のビッグトピックのひとつと言える。
Sponsors:N.T.ORIGINAL、Newtype、Etnies、Strush Wheels、Arktz、Dostech Bearing、Paradox Griptape、Tatsu Trainer、B.W.G  Photo:Takahashi

ストリートカルチャーの最大公約数。

湘南。サーフィンのメッカとして知られる場所は、実はこれまでに数多くのイケてるスケーターを輩出している場所でもある。ZIZOWこと北村浩一や林健太郎世代をはじめ、中島壮一朗、戸枝義明、清水葵、林正翔など、その系譜は受け継がれていきた。PONGこと田内努のビデオレーベル“CHATTY CHATTY”の存在も大きい。それに引っ張られるようにして北詰隆平や三枝ジュンヤファイヤーなど、新しいタレントが生まれ、シーンを席巻していく。そんな中で、今後が楽しみでしょうがないスケーターが中田海斗。中島壮一朗が主宰するIFO SKATEBOARDをはじめ、SUPRA FOOTWEARといった気鋭のスポンサーがほっとかない逸材は、弱冠20歳の綺羅星。彼の世代は、パーク、バーチカル、ストリート、さまざまなトランディションに対応し、ストリートにおけるカテゴリーのギャップなんかも簡単に飛び越えていく。それはゴンズが路上で自由な表現をしたように。ゴンズとArch、少し前だったら考えられなかった異文化のコラボレーションも、ストリートとヤングジェネレーションの中では最大公約数になる。そんな時代がやってきた、東京オリンピック前夜。
Sponsors:IFO SKATEBOARD、SUPRA FOOTWEAR、Spitfire、Thundertruck、Crap eyewear、Skullcandy、Shake Junt  Photo:Takahashi

ストリートで転ガリ続けるものたち。

長生きしてみるものだ。まさかアニメの世界のことだと思っていたテレビ電話や携帯ウォッチが、ヒーローだけではなく市井の人びとまで普通にピコピコやっている時代を目撃することになるとは。そんなことを、1960年代、初めてスケートボードで『LIFE』誌のカバーを飾ったマット・マクギーが言ったかどうかは定かではないけれど、とにかく僕らは長くストリートに転がってきて、スケーターがしでかしてくれるトピックの目撃者になっている。今回紹介するストリート・ライフスタイル・ブランドのArchとストリートスケーターのリビングレジェンドのマーク・ゴンザレスとのコラボレーションもそんなトピックのひとつと言っていい。Archはバスケットボールをルーツにしているブランド。さらに言うとアリーナで活躍するアスリートプレーヤーはもちろんストリートでピックアップするボーラーも含めたボールと一緒に転がっている連中にフォーカスしている。たとえば、野呂竜比人やCHIHIROといった代々木公園やストリートリーグでよく聞くビッグネームたち。Archは、ウィールを転がすスケートと同じ、ライク・ア・ローリングストーンな臭いを発するブランドであり、面白いのはバスケ界の生ける伝説と言われたジャバーではなく、スケート界のレジェンド、ゴンズとコラボするところ。最近のネタでいえば、メイフェザーとマクレガーの異種格闘技のビッグマッチのようなシンクロの仕方。田町や代々木でピックアップゲームをしてるボーラーがゴンズのグラフィックを身につけてる。田町や代々木でカーブボックスにトラックを走らせてるスケーターがArchのロゴを身につけている。想像するだけで、それはとても痛快だ。もともとアメリカではスケーターとバスケットプレーヤーのシンクロは当たり前の話。たとえば、L.AのスケートカンパニーのgirlやLakaiのスケーターがNBAのLakersのプレーヤーと仲が良かったり、マイアミHEATなどで活躍したバードマンことクリス・アンダーセンがスケーターたちをスポンサードするアンダーウェアブランドをはじめたりと、その手のネタは尽きない。だから、スケートボードもストリートボールを含んだバスケットボールも今まさに隆盛を誇りはじめたこの日本でもそんなトピックスが発信されるのは時間の問題だったのかもしれない。そして、この秋、飛び込んできたのが、バックテールからのトランスファーもしくはビハインドザバックな、マーク・ゴンザレスとArchのコラボレーション。僕らはまたひとつ、スケーターのマーク・ゴンザレスがしでかしてくれたトピックスの目撃者となる。

【ARCH】
http://arch-design.jp/