前十字靭帯損傷(Anterior Cruciate Ligament:ACL)

09.11 12:45

今回は、前十字靭帯(以下、ACL)についてお話したいと思います。ACLとは膝に付いている靭帯でスポーツ外傷の中でも発生頻度が高く、ひとたび受傷すると高い可能性でスポーツ活動を継続することが困難となり、復帰までに半年~1年近くを要することがあります。

ACL損傷は接触型と非接触型の2つの受傷タイプがあり、スケボーではほぼ非接触型。そもそも非接触型はACL損傷の約70%を占めていますが、スケボーは個人プレイが多いので誰かと衝突してACL損傷というのは、可能性としてはかなり低いものだと思います。単独でスラムした着地時に損傷することが多いので非接触型ということになります。非接触型の発生機序としては、ジャンプの踏切、ジャンプからの着地、急停止、急な方向転換などで受傷し易いと言われています。

では、スケボーでACL損傷はどんな状況で受傷してしまうのか説明します。簡単に言うと着地に失敗し過度な内股で脚を着いてしまうと損傷してしまいます(分かり易くするため、内股という表現をしていますが、膝が足に対して過度に内側になってしまう状態を説明しています。一概に内股だからといって損傷するわけではありません。)。何故かというと前十字靭帯とは膝裏外側(大腿骨外側顆)から斜め前内方に走っているからです。膝が中に入ってしまうということは靭帯を張ることになり、ちぎれてしまうということです。

ある研究では、着地動作における膝関節屈曲角度(膝を曲げる角度)、膝関節外反角度(内股の時の膝の角度)変化量は、女性が男性よりも有意に大きい値を示したとの報告があります。ACL損傷は女性に多いという事です。女性に多い理由としては、女性は男性に比べて骨盤の幅が広いことや、体重あたりの筋量が少ないことがACL損傷を引き起こす要因となる解剖学的な特徴を有しているからです。女性に起こりやすいと述べましたが男性も決して油断してはなりません。スケボーはステア、ハンドレールで失敗した時の着地には特に注意が必要です。スケボーでの動きは重力の影響による負担が大きいのでその分リスクも高まるということになります。

自分には関係ないと思っている人は多いと思いますが、スケーターの動きを見ていると、着地を失敗した時ヒヤッとする場面をよく見かけます。一度受傷したら致命的な怪我に繋がるので、予防を目的としたトレーニングが必要だと考えます。次回はそのトレーニングについてお話できればと思います。

それではまた…
SKATELOVE✴

Profile – Yuta Nakasaka(中坂優太)
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スケート歴18年、現在理学療法士として働く傍ら、自らも現役バリバリ活躍中の静岡のキーマン。コラムでは語り切れない、さらに踏み込んだ内容を個人に合わせ、具体的にアドバイスするスケートボード理論講座も不定期に開催中。詳しくはブログ(http://ameblo.jp/y-nakasaka/)にて。

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