群馬県前橋市を拠点として活動する館長こと奥野恭平。「館長」の愛称は彼の部屋に所狭しと敷き詰められたVHSやDVD、雑誌や書籍から。それはまるでスケートミュージアムの館長のようで、いつしかその名が広まった。筋金入りのスケートオタクの館長はオタクなだけではなくスケートの方もかなりの腕前だ。その館長が愛と労力とスケート雑学をフルコンプリートしてメモリアルオタクDVD『BOARDER LINE』を7月にリリース。地方都市で20年にも渡ってスケートとフィルミングを行なってきた彼に、今回のDVD制作やこれまでの活動について話を聞いた。
Q:ひとまずDVD完成おめでとうございます。今の気持ちは?
ありがとうございます!! とりあえず終わってしまった……って感じです。大変だったけど楽しみでもあったので。
Q:今回のDVDの概要とか見所、思い入れを聞かせてくれる?
元々は地元のスケーターを撮れるときに撮っておいて、いつかはスケートビデオが作れれば……。そんな感じだったんですが、神戸から1年間群馬の学校に来ていたケンシロウとJAH STORE(今はJamal)を通じて知り合い、彼が群馬で撮りたい場所で1年間撮影しました。地元のスケーターとはスポットの見方だったり考え方が全然違うので、単純にケンシロウが1年群馬で撮影して帰っていくっていうケンシロウを主軸としたビデオ。そこに、地元のゆうしさん、たかしさん、ミント君、小見くん、オーストラリアに行っているホシケイたちも良いフッテージが撮れていたので、それもまとめて1本のビデオ作品にしたという感じです。できるだけいろいろなスタイルのスケーターを撮影して、かなりカオスなスケートビデオを作ろうと思っていたので、とにかく自分が撮影したい!!!と思った人には声をかけさせてもらいました。統一感のないビデオにしたかったという感じです。
BOARDER LINE [teaser3]
Q:どれくらいの期間撮影をしていたの?
撮影期間は約6年です。
Q:館長と呼ばれる一番最初のきっかけは?
ケンシロウが家に来たときにスケートビデオがいっぱいあるのを見て、単純に『館長じゃないっすか~』って言い出したのが最初です。
Q:影響を受けたスケーターや映像作品、雑誌などがあったら教えて。
影響を受けたスケーターはいっぱいいてしぼれないですが、最初に買った海外のスケートビデオがリアルの『ノンフィクション』で、国内だとエクスプレッションの『First sequence』で、その二つは何回も観ました。他に好きなのはFTC『PENAL CODE 100A』、エーリアンワークショップ『TIME CODE』、マッドサークル『5ive Flavors』、toy machine『jump off a building』、IAN REID’Sの『SEX HOOD SKATE』、CANDY、411VM、『Champ on this』、ジムズランプジャムの『テキサスデスマッチ』、LIFEα、Strush wheels 『collective improvisation』、『SOZAINOUMAMI』などです。雑誌は『LOVELY MAGAZINE』、『BRACK BOOK』、『WHEEL magazine』、『SECRETCUT』などは凄い好きです。
Q:館長は地元でずっと滑っているイメージがあったけど今回の作品では群馬を飛び出して東京や神戸、名古屋など様々な場所で撮影しているよね? 気持ちの変化があったのかな?
気持ちの変化……笑。、単純にボーダーラインの撮影があったからいろいろな所に行ったけどそれがなければそんなに出て行ってないかもしれません。ただスケートボードとビデオカメラだけでいろいろな場所に行っていろいろなスケーターと撮影したりして、地元では経験出来ないことを経験できて自分自身のスケートボードに対する考え方も変わった気がします。
Q:フィルミングを始めたきっかけを教えて。
フィルミングを始めたきっかけは、単純に誰もフィルミングをやりたがらないし誰もやる人がいないからしかたなく始めた感じです。スケートビデオを作りたいけどフィルミングは大変だしみんなやりたがらないから自分でやるしかないって感じでしぶしぶ始めたのが最初です。萩原君から借りたVX2100で撮影していたので。自分でカメラを買ったわけでもなく借りたカメラで撮影してました。
Q:館長はスケートもかなりの腕前だけどフィルミングとスケートどっちが好きなの?
スケートの方が全然好きです。
Transfer Backside TailSlide
Photo : Dave Sekiguchi
Q:地方のスケーターとして活動を行うのってメディアとも距離があるし、なかなか難しいところもあったと思うけどこれまでどういう気持ちでスケートと付き合ってきたの?
地元の先輩のゆうしさん、たかしさん、03、ミント君などがいて常に刺激はあったので楽しくスケートをしていた感じですが、確かにもっと評価されていいんじゃないかという地元のスケーターはいっぱい居ました。
Good Flavor.
Photo : Dave Sekiguchi
Q:最近の群馬近郊のスケートシーンはどんな感じ? 若手も増えてきた印象があるけど。
最近は自分たちの世代はスケボーを辞めてしまって少なくなっているんですが、中学生から高校生ぐらいのキッズでめちゃくちゃ上手い子が何人もいるので、これからまた面白くなっていくんじゃないかと思います。とくにカエデ、ソラ、ダイキとかは自分がスケボーを始めた年齢で、すでに凄い上手いので楽しみです。
Q:スケートがオリンピック種目に選ばれたけどそのことについて思うところはある?
自分はスポーツだと思ってないのでアレですけど、悪いことではないと思います。
Q:次回作や今後の活動予定を教えて。
今の所何も考えてないです。
Q:じゃあ最後に一言。
今回色んな人の協力があってできたスケートビデオで、とても自分一人の力ではできなかったので、撮影させてもらった105人のスケーター、このボーダーラインに関わってくれた全ての人に感謝したいです。それと、お世話になったデパーチャのひでかずさん、リズムの大山さん、ゆうしさん、たかしさん、けんじさん、ノリさん、チム、カズマ君、猟犬さん、KZTK、うっちー、ツッチー、たいき君、JONJONさん、03、タガヤ兄、タコさん、ケンシロウ、ミント君,小見君、スギアツ、あべともさん、黒さん、奈良さん、ゆうちゃんさん、小暮さん、ひろ、まいまい、萩原君、ACO、心から感謝しています。みなさんどうもありがとう。これからもよろしくお願いします。
Filmed, Edited, Interview and Photo : 杉本 篤(Hulahoopers)
Music : CHM, WITNESSGREEN from HEAVY MOON MUSIC
Additional Photo : Dave Sekiguchi
Supported by Blackmagic Design https://www.blackmagicdesign.com/jp
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