応急処置

08.05 12:15

今回は応急処置「PRICE処置」についてお話をしたいと思います。捻挫、打撲、肉離れといった怪我に対して、できるだけ状態を悪化させない、良好な状態に保つ処置方法です。対応が適切でない場合、症状が悪化したり、治癒までに時間がかかったりすることも考えられます。処置が早い程、回復は早くなるのでとても有効な処置です。しかし、応急処置はあくまで応急処置であって怪我を治すことが目的ではありません。自然治癒を妨げない事、そして傷害を悪化させない事が目的です。あ、く、ま、で応急処置なので、医師の治療を受けるまでの繋ぎでしかありません。受傷した際にはなるべく早く医師の診察を受けてくださいね。

PRICEとは単語の頭文字をとって合わせた語です。下記の図を参照してください。受傷してからは24~72時間はPRICE処置が適応されます。

P: 最も最初に行うことは怪我人の保護、受傷部位の保護に努めます。負傷した際には安全な場所へ移動しましょう。

R: 安全な場所に移動させた後は負傷部位を動かさずに楽な体勢で安静を保ちましょう。寝かせる、または座らせる等して体を安静にさせます。グリッチョやスラムして負傷した時は直ちに運動を止めて安静にさせます。内出血・腫れがひどくなると、それを取り除くために多くの時間がかかってしまいます。できるだけ内出血・腫れを最小限に抑えることが早期治癒のポイントとなります。このように患部の負担を軽減させることで内出血や腫れ、痛みを抑制し、損傷部位の拡大を防ぎます。体内の自然治癒システムを最大限に生かすためにも患部を動かさないように、体重がかからないように安静を保つことが大切です。

I: 次に氷で患部をアイシングします。怪我の直後から行うのがポイントです。患部やその周辺を氷で冷やすことにより、血管が収縮して内出血、腫れを抑え痛みを緩和します。さらに患部の代謝を低下させることにより炎症を抑制します。ビニール袋に氷を入れて冷やす方法が最も一般的です。冷却時間は、怪我の程度・患部の状態によって異なりますが約15~20分程度冷却します。感覚がなくなるまで冷却した後は患部から氷をはずし、50~60分程度休憩します。休憩後、再度アイシングを行っていきます。これを何度も繰り返し24~72時間ほど続けます。
※注意点 無感覚になってさらにアイシングを続けると、凍傷の危険性がでてくるので冷却を止めましょう。また、就寝時もアイシングも凍傷の危険があるので避けた方がいいです。

C: これは専門的な知識を必要とするので難しいかもしれませんが重要です。包帯やテーピングなどを使用して患部を圧迫します。これも怪我の直後から行います。捻挫、打撲は表面にキズや内出血が確認できなくても、深部においては組織がダメージを受けて出血などが起きています。損傷部位の炎症は修復過程において必要な過程ではありますが、過度な場合には血腫が大きくなり、やがて瘢痕組織というもろい組織に変わっていきます。この瘢痕組織は怪我の再発を起こす原因の一つにあげられ、患部を適度に圧迫することで、過度な内出血や腫れを抑え、瘢痕組織の形成を防止することができます。圧迫方法は患部の症状、範囲に応じて、包帯、弾性包帯、テーピングなどを使用して適度に圧迫し巻いていきます。巻き方は心臓から遠い部位から巻いていきます。うっ血を防止することができます。
※注意点 圧迫が強すぎると、神経を圧迫したり、圧迫している部位から末梢の血流が悪くなったりすることがあります。 患部より遠い部分(患部が膝の場合、足首・足の指など)が青白くなったり、シビレてきた場合は、一度固定を外しましょう。 血流の改善やシビレがなくなってから再度、適度な強さで固定しましょう。 固定後は、定期的に、皮膚・爪の色が青白くなったりしていないか、感覚はあるかなどのチェックを忘れずに行いましょう。

E: 患部を心臓より高い位置に保つ事で、内出血や腫れを防ぎます。患部の血圧は心臓よりも高い位置にあると低い位置に比べ低くなります。患部の血圧が低いと出血の量が抑えられます。また重力の関係でも挙上した方が損傷部の内出血は抑えられます。このように内出血を防ぐことで、早期の治癒が可能となります。 さらに、アイシング・圧迫と併用することで内出血の抑制を効率的に行います。
患部が上肢の場合:ヒモやタオル、三角巾などで腕を吊り安静な姿勢を保ちましょう。
患部が下肢の場合:足をクッションやイスなどにのせて横になり安静な姿勢を保ちましょう。

最後にやってはいけない応急処置禁止事項として、入浴・飲酒・温湿布は止めましょう。いずれも血管拡張作用や血管透過性増大の作用があります。すると、内出血が起こり血腫の形成が促進されます。血腫はやがて瘢痕組織と呼ばれるもろい組織に変わっていきます。厄介なことにこの瘢痕組織は緻密な線維性結合組織でできているため痛覚受容器が存在します。このように瘢痕組織形成を少しでも防止するためにPRICE処置を行うというわけです。怪我した際には、是非やってみてください。
それではまた…
SKATELOVE✴

Profile – Yuta Nakasaka(中坂優太)
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スケート歴18年、現在理学療法士として働く傍ら、自らも現役バリバリ活躍中の静岡のキーマン。コラムでは語り切れない、さらに踏み込んだ内容を個人に合わせ、具体的にアドバイスするスケートボード理論講座も不定期に開催中。詳しくはブログ(http://ameblo.jp/y-nakasaka/)にて。

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